扉・引き出しの選び方
収納家具を作るとき、オープン棚以外は中身を隠すためとかホコリ、紫外線などから守るために扉をつけます。色々な形状の扉がありますが、その特徴からメリットとデメリットについてお話しします。

1.引き戸
和のイメージのある引き戸。部屋の中にあるだけで落ち着いた雰囲気になりますね。
縦格子が入るとますます和やアジアンに近づきます。
<引き戸のメリット>
◉手前にスペースがなくても開閉できる
例えばベッドサイドでスペースに余裕がない、柱や梁に干渉していて扉が全部開かないなど狭いところでも横に引くだけなので開閉しやすいです。
◉金物が表に(裏にも)見えてこない
この収納のように、両面で使う場合には例え裏側でも金物が見えたくない場合があります。引き戸にしておけば表からも裏からも金物は見えません。間仕切りとして使いやすい形状です。
<引き戸のデメリット>
●扉の厚み分の奥行きが必要になる
引き戸にする場合には、扉の厚み×枚数+クリアランス(可動に必要な隙間)+
枠チリが必要になります。具体的に言うと、扉20ミリ×2+CL3ミリ+チリ前後10ミリ前後=53ミリとなり、奥行きのない壁面収納を作ろうとしている場合には不向きになります。
●完全に開かないところがある
2本引きの場合、引き戸と引き戸の重なった部分20〜60ミリほどは、どっちから開いても完全に開くことができません。
2. 観音開き扉
一番一般的な扉。丁番を使って吊り込んで左右または上下に開いて使う。
和にも洋にも幅広く使われている。
<扉のメリット>
◉閉じたときにフラットになる。プッシュラッチにすれば、壁の様に見せることも可能。
逆につまみやハンドルで表情をつけることもできる。
◉扉を大きく開くことができるので、中身を見渡すことができる。丁番の種類や仕様(折れ戸やスイングなど)が様々な使い方が考えられるので、幅広い使い方ができる。
<扉のデメリット>
●開くために、必ず手前に(スイングアップの場合は上に)スペースが必要になる。扉が大きくなればなるほど、開くためのスペースが必要となるので注意が必要。
●なるべく大きめに作りたくなるが、丁番に負担がかかりやすい。重量や開き角度に見合った丁番を用意することになるが、内部に引き出しを作る場合には丁番にぶつからない様、約30〜50ミリ程セットバックする必要がある。重量用になるほどセットバック寸法は大きくなる。
●上部吊り戸棚など開けっぱなしになった場合、ちょうど目線から頭までの位置に角が来ると、見えにくくケガに注意。
3. 引き出し
細かな物の分類や奥のものを取り出しやすくするためにはとても便利。
デスク周りやキッチンには絶対に必要になります。
<引き出しのメリット>
◉奥行きのある収納に向いている。全て引き出して見渡すことができるので、便利。
◉浅くすれば細かいものから、深くすれば重くて大きいものまで手前に出してくることができるため、物の出し入れがラクにできる。
<引き出しの注意点>
●引き出しの箱、レールなどにより、収納の容量は減ってしまう。
●自分の顔の高さより下にしか設置できない。
●手前に引き出すためのスペースが必要。幅も奥行きもある引き出しは、便利な反面ものを取り出しにくくなってしまう。
それぞれのメリットとデメリットを書きましたが、検討するときは
1. しまうものと、用途に合った開き方
2. 空間に見合った開き方
3. 見え方の印象が変わる
などの点に考慮しながら、考えてみてください。
クニナカで家具を作るときには、「中には何をしまいますか?」とお聞きするのは、それがわからないと決められないからなんです。ここには何が入るかも、合わせてお知らせいただくと設計がスムーズになります。

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